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Day.7 -2002.07.20 |
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今日のネイスンは、ハットを着用。 |
この日は,3日間ツアーの最終日。菜津子が楽しみにしていた、ワイナリー巡りの日だった。参加人数が少ないと聞いていた私たちは少々気がゆるみ、少し遅刻してしまった。慌ててバスに乗り込んだ私達を優しく迎えてくれたのは、“オルガ”という名前のオランダ人の女性だった。彼女も私達と同じように、オーストラリア国内を旅行中だった。目的地は“バロッサ・バレー”。アデレードの北東約55kmに位置するワインの名産地だ。
最近知られるようになってきたが、オーストラリアには数多くのワイナリーがあり、優秀なワインを送り出している。そして、オーストラリアでは、実に気軽にワインが楽しまれているのだ。多くのレストランでは“B.Y.O”というシステムを採用していて、自分のお気に入りのワインを持ち込むことができる。
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広大な丘陵地帯、バロッサバレー |
レストランで注文する場合でも、お料理に関係なく自分の飲みたいワインを飲む、という人が多い。お肉に赤、お魚に白、というこだわりはないようだ。日本人には気が重いテスティングも、したい人だけがする。
レストランでアルバイトしている菜津子は、テイスティングしているお客様を見て、いつも思うことがある。“あの鼻で嗅いだら、ワインの香りが違うのかな?”である。オーストラリアの人は、みんなスーッと高い鼻を持っている。匂いを嗅ぐ時、グラスの底にあるワインに鼻先が届きそうな位に。いつも見とれてしまう.。きっと自分とは違う香りを嗅ぎ分けるに違いない!
最初に訪れたワイナリーは、ネイスンおすすめの“Keis Family Wines”。名前の通り、家族経営の小さなワイナリーだ。私達はこのワイナリーにある全てのワインを試飲した。お気に入りは“シャルドネ”。辛口ワインの代表格とされる品種だ。ここで初めて“ポートワイン”という、ものすごく熟成されたワインを飲んだが、私達はポートワインを試すにはまだまだ未熟すぎた。深みとか価値といったものはわからず、“あま〜〜い!”という感想しか浮かばなかったのだから。
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ワイナリーの前で。何とも幸せそうな2人。。。 |
この後立て続けに、4軒のワイナリーを訪ねた。規模の大小はあっても、試飲の方法に大差はない。建物に入っていくとバーカウンターのようなものがあり、ボトルがずらーっと並んでいる。カウンターの前に行ってスタッフの人に試飲したいと伝えると、グラスを出してくれる。途中で変えてもらうことは可能だが、グラスは基本的に1人1つ。自分が気になるワインを指定して、グラスに注いでもらう。グラスには3分の1程注がれるが、全部飲む必要はない。近くに必ずワインを入れる壺の様な物が置いてあるので、いらなくなったらその中に空けて、また他のワインを注いでもらうことが出来る。
普段多くのワインを目にしている菜津子は、この機会を逃すはずがない。気になっていた銘柄を試すことができるのだから。特に気合が入ったのは“Penfolds-ペンフォールズ”。バロッサバレーで最大、また世界的にも有名なワイナリーだ。もちろん菜津子にはそんな知識はなかったが、ペンフォールズのラベルは日本でも目にするほどだ。
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ペンフォールズのワイナリー。少し、観光化し過ぎ!? |
またまたチャイニーズの話だが、彼らは赤色を本当に好む。お正月のお年玉袋(ラッキーマネーと呼ぶ)も赤である。そして、白ワインと赤ワインどちらが好きかというと、当然赤なのだ。チャイニーズの人々のパーティーには、赤ワインが欠かせないのだ。そしてなぜかみんな“ペンフォールズ”なのである。
ペンフォールズでは白ワインも試したが、主に数種類の赤ワインに挑戦した。基本的に菜津子は白ワイン派である。猛は、これまたテレビ番組から得た“赤ワインにはポリフェノールが一杯”との情報に基づき、赤ワインを飲もうという努力をしていた時期もあるが、基本的にはビール派である。
せっかくの機会だったが、ペンフォールドのワインは私達の好みではなかった。おそらくまだ舌が肥えていないからだろう。。。
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次のワイナリーに向け移動中。幸せそうな顔で、一面のブドウ畑を眺める菜津子。 |
1軒目のワイナリーでは、全部で5種類ほどだったが、他のワイナリーでは、少なくとも5種類。赤も白も気の向いたまま。菜津子とオルガは満面に笑みを浮かべながら、次々と試飲していった。猛はといえば、3軒目くらいから1歩後ろをついてくるようになり、5軒目ではついに何も口にしなかった。
ワイナリー巡りというと、かなり優雅なイメージがあるが、実は結構ハードなツアーでもある。バスから降りてワインを数種類試し、気が済んだらバスに戻り、次のワイナリーに向かうという、正に“はしご酒”である。途中からバスの中にはアルコールの匂いが充満し、バスが止まるまではみんなぐったり寝ているという、週末の終電のような光景に変わっていたのも事実だ。
菜津子のお気に入りのワインは“Peter Lehmann-ピーター・リーマン”というワイナリーの白、猛のお気に入りは、4軒目のワイナリーでもらった、“冷たいお水”だった…。
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この壁の両端でささやいた声が、自分の足元のほうから聞こえてくる。 |
ワイナリーを後にした私達は、アデレードに戻る前に“ウィスパリング・ウォール”に寄った。見た目は弧を描くようにダムを囲んでいる、何の変哲もない壁だが、100m近く離れた壁の両端で、ささやく様な声で会話ができてしまうという、驚きの体験ができる。この壁の特殊性が発見された背景には、このダムが作られている間、ある現場作業員が上司の悪口を言っていたら壁の反対側にいた当人に筒抜けで、あえなくクビになった、という笑えないエピソードがある。
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走行距離は3日間で約1600Km。ネイスンは、きっと今日もメルボルン〜アデレード
の間を走っているだろう。また、いつか彼のツアーに乗りたいな。 |
3日間のツアー、ガイドさんに恵まれたこともあり、前回とは格段に異なる、充実した楽しいツアーだった。3日間のバス代と国立公園入場料で1人A$179。悪くない、と思う。
夕方4時頃、アデレードに到着した。少し時間は早かったが、私達はネイスンに最後の別れを告げ、予約したバッパーにチェックインすることにした。伝えてあった時間よりかなり早かったため、私達は少し付近を散策して時間をつぶし、バッパーに戻ってチェックインした。、、、ところが、このレセプションのお兄さん、私達が予定通り3泊するというと、なぜか浮かない顔をしている。外の看板には日本語も書いてあったし、お兄さんはサッカー日本代表のユニフォームTシャツを着ているし、親日家であることは間違いない。
何かすっきりしない気持ちで部屋に入った私達は-何となく全てを理解してしまった。この部屋は、、、お兄さんの部屋なんだ!!!部屋番号はないし、明らかに他の部屋とは作りも家具も違うし、何よりついさっきまで誰かが住んでいた、という雰囲気にあふれている。ひょっとして1晩誰かの部屋に居候すればいいかな、と期待していたお兄さんは、それが3日に延びて、ものすごくショックだったに違いない。
お兄さんを気の毒に思いながらも、私達はさっさと荷物を解き、快適なキッチンでスパゲッティを作り、久しぶりに起きる時間を気にしない、のんびりとした夜を過ごした。
本日の出費 (2人分の合計) |
昼食 |
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11.20ドル |
食料品 |
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4.95ドル |
ビール |
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13ドル |
宿泊代(3泊) |
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115ドル |
合計 |
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144.15ドル |
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