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Day.52-2002.09.3 |
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コース最終日。グリーン島に到着して最初に行ったのは、200メートル水泳。これには選択肢がもう1つあり、シュノーケルをつけて300メートル泳ぐ方法も選択できた。保正家一秒の迷いもなく、“シュノーケル付き300メートル”を選択。そして難なくクリアの運びとなった。
前日と同じように仕度を整え、私達はプールに集合した。この日は、主に緊急時の対応を学んだ。酸素が無くなった、バディが動かない等々、習得しておかなければ文字通り命に関わる事ばかりだった。
プールでの講習を終えた私達は、昼食を挟みながら3回ほど沖に出て行き、プールで習った事を実践していった。
この潜水はかなり難しく、インストラクターがOKというまで、つまり正しく出来るようになるまでいつまでも海中にいなければいけない。長時間水中にいたせいもあるが、この日の水温は低く、手足共に半袖のウェットスーツを着た私達は疲労と寒さでクタクタになってしまった。
最後に最大の難関である、バディをボートに引き上げるという訓練を行って、私達の講習は修了した。紆余曲折はあったものの、保正家は二人そろってめでたくオープンウォーター・ライセンスを取得し、険悪だった雰囲気もどこかに吹き飛び、めでたしめでたしの空気が最大級に盛り上がっていた。
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1.初めて尽くしだった2日間。グリーン島を後にする。 |
この日の夜、コース修了の打ち上げパーティーが行われた。この数日間に行われた全てのコースに関わった人が参加する、インストラクター側主催のパーティという事だったが、始まって数十分もすると受講生達はこのパーティの真の目的を知り、何となく白けた気分になってしまった。
そう、“ライセンス取得&コース修了祝賀パーティ”という名前の“飲み会”は、インストラクター達が楽しむためのものだったのだ。はじめこそ全員で乾杯があったものの、それ以降一人のインストラクターも受講生に話しかける様子はおろか存在を気にする様子もなく、インストラクター同士で飲んでいるのだ。
最初に集められた会費は、結局彼らの飲み代になるのだと知りながらも、一人また一人と、早々に帰っていく人が多かった。
同じコースの人とはもう十分交流したし、こんな飲み会ならば二人で飲んだ方がいいねと、すっかり仲直りした保正家も会場を後にしようとしたその時、事件は起こった。
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2.受講生のみんなと。コース修了の安堵感からか、なぜかこんな事に。 |
お別れの挨拶をみんなにしていた時から見当たらない人が一人いた。Cちゃんという、友達と旅行中コースに一人で参加していた女の子である。
会場をぐるぐる探し回って、ようやく見つけたCちゃんは、見覚えのある誰かと話していた。そしてその二人は、距離を置いて立ち、双方腕を組み真っ向から視線をぶつけ合い・・・つまり、遠目に見ても友好的な雰囲気ではなかったのだ。
こういった時に放っておけず、菜津子に比べて数段知恵の働く猛が、とりあえずCちゃんに“かる〜く”声をかけてみた。しかし、相手の女性から返ってきた言葉は、“あっち行っててもらえます?”の一言のみ。
これを受けて、猛は“やっかいだなー”と言いながら、踵を返してある人を探しに行った。
こういった時の猛の動きは、本当に感服に値する。“菜津子が何に対して機嫌を損ねているのか”とか“菜津子が劇的に髪型を変えた”という事には全くもって働かないセンサーとは、きっと違う所についているのだろうと思われる。
それはさて置き、このCちゃんと話している女性、実はCちゃんの“バディ”であったSさんの奥様であった。しかも新婚旅行中。
Sさんは私達と同じオープン・ウォーター組だったが、既にライセンスを持っていた奥様は、1つ上の“アドバンス”コースを受講していたのだ。コースが違うといってもプールを共有する事は何度もあり、その度に二人の“バディ”っぷりを目にしていた訳なのだが、どうやらその親密さに疑いを持ったらしい。
コース修了までじっと我慢していた奥様が、ついに爆発したというところか。
バディは潜水中も手を繋ぐし、助け合ったり支えあったりという密着度は確かに高い。真剣に取り組むからこそ、お互いへの依存度も増し、恋愛関係に発展するという可能性だって否定はできないと思う。
しかし、である。。。。
SさんとCちゃんの名誉の為にあえて付け加えるならば、この件に関して彼らは全く潔白であり、ただただみんな一生懸命だっただけである。
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3.フェリーよりケアンズを望む。 |
戻って来た猛は、Sさんを伴っていた。そして女性二人のところへ戻ると・・・
Cちゃんが涙をボロボロこぼして泣いていたのである!
こうなっては強制的に介入せざるを得ない。猛がCちゃんを、Sさんが奥様を呼び、二人を引き離した後、Sさんと奥様は、その場で少し話しをした後に帰って行ったのである。
なかなか泣き止まないCちゃん。この先ややこしくなるのであれば話は別だが、今の時点では何がどう転んでも泥沼化する訳も無い。彼女が泣き止むまで待った後、タクシーに彼女を乗せてホテルに帰すことぐらいしか、私達にするべきことは無かった。
思いがけない出来事ですっかり疲れてしまった、保正家。“Sさん大丈夫かな?”と、どう考えても最も立場の辛そうなSさんを思い、とぼとぼとバッパーに戻っていった。
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